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2022.10.22

投球数制限はどのぐらいが適正なのか

最近投球数制限が厳しく行われ未然に肩肘の障害を防ぐ役割を担っています。
実際に実戦の中で投球動作・ボール特性はどの様に乱れていくのか研究した記事がありました。

研究内容は投球数制限が行われていなかった2014~2015年度に都内の学童野球公式戦に登板した78人の投手の、登板1試合目における全投球動作を分析したものです。
そのなかで何球目から「投球動作の乱れ」・「ボール特性の乱れ」が生じるのかが確認されたとのことです。
「投球動作の乱れ」・「ボール特性の乱れ」の内容をA~Hと設定しています。

「投球動作の乱れ」
A:ステップ幅の減少
B:下腿角度の減少
C:大腿角度の増大
D:体幹角度の増大
E:膝関節角度の増大
F:股関節角度の増大
G:ボールリリース位置の後退
H:ボールリリース高の上昇

「ボール特性の乱れ」
I:「ボール投射角度の増大」
H:「ボール初速度の低下」

80球目まではA~Hまで25%未満と低値だったが、81~90球目になると「H:ボールリリース高の上昇」の割合が急増したと報告しました。
さらに91~100球目になると「H:ボールリリース高の上昇」に加え「C:大腿角度の増大」「D:体幹角度の増大」「F:股関節角度の増大」の割合も急増した。
「H:ボールリリース高の上昇」はいわゆる”高めにボールが浮く”状態です。
高めに浮く状態になると下肢→体幹→上肢への運動連鎖が上手く出来なくなっておりこの様な状態で投球を続けることは肩・肘関節の投球障害を誘発する要因になります。

「ボール特性の乱れ」は投球動作に乱れが生じた後に失速してくることが予想され、101球目以降に「J:ボール初速度の低下」の割合が急増する可能性があります。
球威が落ち始めたら投手交代をするという方も多いですが、肩・肘関節の投球障害を予防する観点からは遅すぎる判断といえます。
米国における投球数制限のガイドライン「pitch smart」においても1日の最大投球数は9~10歳で75球、11~12歳で85球としています。
…とういう研究報告がありました。
まとめると
・80球を超えたあたりから投球動作は既に乱れ始めている
・球威が落ち始めてからの投手交代では遅すぎる
・学童野球公式戦における投球数制限70球は適性(至適範囲)である
と締めくくられています。

この記事を参考にして今後投球復帰の際にベースとして頭に入れておく必要があると思いました。
もしかしたらまだこの様な研究を知らない保護者・指導者の方もいらっしゃるかもしれないので、しっかりと伝えていきたいと思いました。


※参考図書 BaseballClinic(ベースボールクリニック)2022/9月号 66ページ
シンプルに考え本質をとらえる 著:伊藤博一様 より抜粋

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